JAL式更生法の問題点
今回の更生法には、問題点は大きく2つに原因がある。一つは、粉飾決算。もう一つは利益相反の立場(出資者・債権者と言う利害関係者)の企業再生支援機構が管財人になった事である。管財人が中立公正な立場の弁護士であれば100%減資にはなってなかったと考える。また決算を粉飾していなかったら債務超過であったので私たちも株を買っていないであろう。
我々が問題にする論点は二つ、
1、利益相反行為により株を無価値にされた
利益相反の立場でありながら管財人と
なり100%減資を行い、再生の利益
を独占し再上場で3500億円の利益
を得ると考える。
2、任務懈怠により損害賠償の機会を失った
利益相反の立場である企業再生支援機
構が自分の利益の為に粉飾決算を追求
せず、株主に損害賠償の機会を与えな
かったと考える。
『この日航更生事件が成功例となれば、管財人弁護士による利益相反行為が正当化され、日本の証券市場の世界的信用は失墜する』のである。この事件の真実を追求して「日本企業と法界の信用を守る事」がJAL再上場に伴い果たされるべきである。
下記にJAL式更生法の問題点を検証する。
1、 日本初の更生法を湾曲させたアンフェアなJAL更生法
通常の更生法の概要は下記の3つに集約される。
① 債権者同一の原則:商取引債権・銀行の金
融無担保債権も同率のカット率で債
権カットする。抵当権者もカットで
きる。
② 経営陣交代:管財人が経営管理すると元の
経営陣は退陣して再生の為の経営陣
が選ばれる。そして新しい経営陣の
下で再生を果たして行く。
③ 中立公正な管財人:管財人が、更生会社と
債権者とスポンンサーの3者間で中
立更生に利害関係を調整する。よっ
て利害関係人は管財人になれない。
しかしながら、今回のJAL更生法は、まったく違っている。
①
債権者同一の原則を無視:商取引債権や
リース債権など事業継続に必要な債
権は100%保護、銀行の借入金の
みを債権カット。抵当権部分はカッ
トなし。
②
経営陣は継続:経営陣はそのまま残るか子
会社に天下りして、現場社員と子会
社だけを整理してリストラして収益
を改善した。
③
利益相反の管財人:今回JALに出資したの
は企業再生支援機構である。
そして、そのまま管財人なった。
明らかに中立公正ではなく利益相反
行為であり違法である。出資者が管
財人となって経営権を握ったので、
出資者が一番儲かる様にして再生し
てきたと言われてもおかしくないや
り方であり、そのような結果となっ
た。
以上の通り、「JALの毀損を最小限に留め、決算書の利益を高めて再上場の株価を高める」為に全てが動いていた様な全くアンフェアな更生法であると私は考える。
今回の更生法は、何が違い、何が問題なのか?
今回は、通常の会社更生法ではなく、
難波孝一東京地方裁判所民事第8部(商事部)部総括判事の提言による調査命令型の会社更生法であった。
では、新しい日本初の「調査命令型更生法」とは何か?
それは、
再生の効率化を図る為に『商取引債権100%弁済、100%減資は行わないで上場維持』する事が趣旨である。商取引債権の100%弁済と100%減資を行わないことの両立は公正衡平の原則(会社更生法168条3項)の原則を満たしている。
元々の主旨の通りの更生計画ならば、旧株主は損害を被ることがなかったはずである。
なぜ当初の通りの公正衡平の原則に反して100%減資、上場廃止となったか? 我々旧株主は、管財人である企業再生機構に強く疑念を抱いている。こんなアンフェアな事が出来るのは、すなわち、出資者である立場の企業再生支援機構が管財人になって自分の出資者の利益の為に不公平な更生法を推進したと言われてもしかたないやり方であろう。
2、任意整理で再生可能であったのに会社更生法をかけた管財人はアンフェア
今回の更生法は、金融債務は別除権以外の無担保債券を83%政権放棄するだけで、商取引の一般債権は100%保全されていた。資金繰りについてはメイン銀行が債権放棄にも応じ、日本政策金融からも運転資金が融資されており、資金繰りは大丈夫だったはずである。しかも銀行団が全面的に支援するとの表明をしていたので、一般債権はカットせず金融機関だけ除別除権以外の無担保債権をカットするだけなら、私的整理でも十分再生は可能だったはずである。銀行団も株式会社日本航空も会社更生法に反対であった。
私的整理で十分再生可能であったのにも関わらず、管財人である企業再生支援機構は、なぜ更生法をかけたのか?
その理由として、企業再生支援機構は『支援機構が公的資金を出す場合は、更生法をかけ100%減資をして厳しく株主責任を問わないと国民が納得しない』との理由を述べていた。公的資金は更生法をかけてなくても数多くの企業に出されている。株主は経営陣に対する管理監督する責任があるとは言え、大口株主ならともかく、一般株主は全員合わせても何も議決できない株数しかないのに、株主責任というだけで100%減資とはあまりにも理不尽である。企業再生支援機構が倒産しなくて良かったJALを100%減資をして再上場の利益を独り占めする為に更生会社を申立てたと言っても過言ではないと私は考える。
3、 利益相反行為とは何か?
利益が相反するとは: 依頼者からの業務依頼があった場合、中立の立場で仕事を行わなければならない者が自己や第三者の利益を図り依頼者の利益を損なう行為のことである。取締役の利益相反行為は、明確に商法違反の犯罪行為であるし、弁護士の利益相反行為も弁護士職務規程に違反する行為である。
4、 利益相反者は管財人になれるのか?
管財人には利害関係者はなれない。なぜなら利害関係の者が管財人になれば、が自分の利益をするが為に中立公正に会社更生を進められないからである。 法的再生相談があると、委任の為に申立代理人の弁護士を探すが、金融機関は債権者であり利益が相反するので金融機関の顧問弁護士に委任できない。
利害関係者とは、債権者であり、スポンサー(出資者)であり、債務者(申立人であるJAL関係者)である。よって企業再生支援機構は出資者であるので管財人には慣れないのであった。しかし、何故か、東京地裁は認可したのである。
5、JAL更生法において企業再生支援機構は利益相反なのか?
企業再生支援機構は出資者であるから利害関係者である。利益相反とは「依頼人と利益が相反する」事を言う。
企業再生支援機構は「3年で出資金を回収して利益を得る」事が利益である。であるから支援から3年で「決算書の立派な会社」にして再上場する必要がある。そこで、永続的な再生より超目先の利益を追求し極端なリストラや短期的な利益操作を行う事も有り得るだろうと考えるのが普通では無いか?そうなるとJALに取っては利益を害する事となる。この事から、企業再生支援機構の利益を追求すると依頼者であるJALの利益を損なう事となり、利益相反行為が成り立つと考えるのが社会通念場妥当であると私は考える。
6、管財人の利益相反行為に甘い日本は世界の笑いもの
株主が粉飾決算・不正増資による損害賠償を請求するのは当然である。今回の日本航空の破綻には謎が多い。それは国策倒産・国策再上場であるからであろう。倒産し再上場して儲かるのは企業再生支援機構であり国だからである。
しかし、日本の司法には問題があり、利益相反を追求する裁判で、株主が勝てる見込みは少ない。 これが、アメリカであれば、裁判に勝てると思う。
AIGが集団訴訟で和解 株主に630億円支払うhttp://www.47news.jp/CN/201007/CN2010071701000176.html
バンカメが損害賠償請求
http://huhcanitbetrue.blogspot.com/2010/07/blog-post_29.html
本来、管財人である企業再生支援機構は粉飾決算を追及する義務がある。しかし、粉飾決算の追及は旧株主の利益であり新株主には関係がない。新株主には有害である。このため、新株主、企業再生支援機構は粉飾決算の追及等を主張する旧株主を100%減資により全面的に排除したと考えられる。粉飾決算を明らかにしないためにである。これは利益相反であり信義則に反する。
出資者である利害関係者の企業再生支援機構が管財人に選ばれたのは、利益相反に甘い日本司法の欠陥によると考えられる。
また、日本航空再建計画は銀行以外に債権者は債務免除されないので 銀行以外の債権者は反対しない。 また、銀行は日本航空の大株主として日本航空の違法行為を摘発する立場であった。しかし、粉飾決算の不正増資の追求をしなかった。
日本航空が銀行の天下り先であり、天下り後の高給が事実上の賄賂であったのであろう。 だから、銀行は大株主責任をはたさなかったのではと私は考える。
それに、銀行は担保をとっているし、一般債権とされ100%保護されたリ−ス債権のバックには銀行の貸付金があります。 間接的にリ−ス債権のバックにある銀行の貸付金は保護されている。 さらに、今後、DES(借入金の資本振替)により銀行の損害は補てんされると考えられるので、銀行の債務免除による損害は世間で思っているほど酷いものではない。
こう言う理由により、債権者側の犠牲はなく債権者の再建計画への合意が成立したのだと思う。
利益相反管財人の就任に反対できるのは債権者であり株主ではない。このため、民主主義国家に例のない利益相反管財人が何の問題もなく業務を遂行することが出来たのであろう。結果、個人株主は、はめられたのである。これでも個人株主は泣き寝入りしなければならないのだろうか?
また、臭いものに蓋をする利益相反管財人の犠牲者は個人株主だけではない。
1兆円の血税をまきあげられる国民も犠牲者なのである。